起業をして経営を行っていく中では,取引先と新規の契約の締結,売掛金の回収の焦げ付き,従業員とのトラブル,など,日々様々な課題,問題が発生します。
このようなとき,正確な法的知識に基づいて判断しないと誤った対応をしてしまうことが起こります。それが紛争につながることもあります。
最も大事なのは,可能な限り紛争を未然に防ぐことであり,紛争を未然に防ぐための手立てを講じておくことです。
次に,それでも紛争が発生してしまったという場合には,なるべく早く紛争を処理することが大事です。そして,起きてしまった紛争の解決にあたっては,短期的な視点だけでなく,より長期的な視点に立って,自分の会社の利害得失を考えることが大事です。そのためには,その会社の個性,目指す方向性を見失わずに決断をすることが重要です。
当事務所は,一つひとつの企業のあり方,その目指す姿に真摯に向き合い,経営の中で発生する様々な法律問題の解決にご協力いたします。
商品の仕入れ,基準に適合する商品の開発,試作品の運用,従業員間の軋轢,そしていつか訪れる事業承継など,企業は法律に則って経営をします。
その意味では,企業活動のすべてにおいて弁護士が関わる可能性があることになります。
①契約の締結
例えば,どの企業でも直面することが,取引先との契約の締結があります。その際,きちんとした契約書を作成しなければ,取引先が契約違反をしても責任追及が困難となるおそれが生じますし,取引先が作成した契約書を十分吟味せずに契約を締結すれば,思いもよらぬ不利な義務を負うことにもなりかねません。
「これまでの慣行」の名のもとに,契約書を作成しない業界が多いのも確かです。しかし,私どもが顧問業務を行う中で,契約書の取り交わしを励行することで,無用なトラブルが激減した例が多くあります。
②債権回収
利益を上げるためには,取引先から代金を支払ってもらうことが不可欠です。
経営にかかるコストを売り上げによって回収することで企業は存続し成長していくのですから,たとえ大きな金額でなくとも,売上の回収を怠っていると,長期的にはその会社の利益率に重大な影響を与えることになります。
大事なのは,実際に債権が焦げ付く前に,そのためのできるだけの手立てを講じること,万が一債権が焦げ付いてしまった時には,どうやって取り立てるのかを事前に検討してことです。
私どもが顧問業務を行う中で,これらのことをあらかじめ準備しておくことで,無用のトラブルを回避することをご提案しております。
③労使問題
2020年4月から,働き方関連改正法の残業規制・有給休暇制度が中小企業にも導入されることになりました。経営者にとって,従業員の残業時間・有給休暇の消化の管理は,単なる残業代の支払の準備ではなくなり,法律に従った経営のための労務管理という観点からきわめて重大な意味を持つことになりました。
当事務所では,経験豊富な弁護士が,複雑でデリケートな労使問題に的確な答えを導き出すために,日々研鑽を続けています。
①契約書の作成による紛争発生頻度の著しい低下
まず,中小企業を支援させていただく際に考えるのは,その企業が取引の相手とどのように契約を取り交わしているかのチェックです。例えば基本となる契約の内容があいまいなまま,注文書と注文請書のみで請負業務を行っている会社も多く,中にはそういった書類のやり取りさえない場合もあります。
そこで,まずは契約書を取り交わすことをお勧めしております。
最初は,そのようなことを言い出すと相手に煙たがられてしまう,とおっしゃる経営者の方も多くいます。しかし,ひとたびトラブルになったときのことを考えると,契約書を取り交わしてトラブルを未然に防ぐことこそ,取引先と良好な関係を長く続けることにつながることがわかっていただけることと思います。実際に,契約書を作成するようになってから,いままで度々あったトラブルがほとんどなくなったとおっしゃる経営者の方も多くいらっしゃいます。
②保全事件―紛争の迅速な処理
どんなに気を付けていても,取引先とのトラブルになっている案件では,相手が急に弁護士をたてて法的手続をとってくることもあります。
例えば,取引上の支払の条件でもめている間に,相手が突如としてこちらの持っている他の取引先に対する債権に仮差押えをかけてくる,ということも考えられます。
取引先の債権に仮差押えをかけられるという事態は,その取引先からお金が入ってこなくなるだけにとどまらない様々な影響が生じます。他の関係ない取引先,さらには金融機関との間の信用の問題が発生することもあります。
このような場合,一刻も早く事態を収拾する必要があります。事案によって,どのような法的手続きで対抗するのかが違ってきますので,状況判断の上,すぐに対応を決めてこちらも素早く法的措置を取る必要があります。
併せて,取引先や金融機関などに,トラブルの内容を迅速かつ丁寧に説明をし,事件の原因と対応方針,今後の見通しなどを明確に伝えて安心してもらう必要があります。
どちらにしても,企業間の紛争における保全事件は,申し立てる場合も,申し立てられる場合も,特にすばやく正確な判断を下し,かつその判断にしたがって迅速に事件処理を行うことが必要で,そのためには知識と経験に基づく正確な状況判断と法的知識,裁判所の手続についての深い知識が必要となります。