夫婦が,互いをパートナーとして共同生活をしていても,別れを考えなければならなくなることがあります。
その時には,二人で築き上げた財産はどうやって分けるのか,二人の間に未成年の子どもがいたときにはどちらが育てるのか,養育費はいくらにするのか・・・決めなければならないことがたくさんあります。
相手からのDV被害に遭っていたために,そもそも話し合いそのものができない状況もあります。パートナーとの別れには,時に大変なエネルギーや困難の克服が必要な場合が多々あります。
新たな人生の出発,そのあとの生活のためにも,パートナーとの話し合いがうまくいかない,あるいは話し合った結果がこれでいいのかどうか自信が持てない,そんな時には,当事務所に,お気軽にご相談ください。離婚事件の経験豊富な弁護士スタッフが,まずは法律相談から誠実にご対応いたします。
親権者,養育費,面会交流,財産分与,慰謝料・・・離婚のときに決めなければならないことは多々あります。
離婚事件で難しいのは,その夫婦のおかれた状況ごとに,それら決めなければならない事柄を,どのような内容をもって,どのような順番で,どのような方法で決めるのが最もよい解決につながるのか,それぞれ異なるというところです。
その理由は,一人ひとりの人生がそれぞれ違うように,夫婦が置かれた状況がそれぞれ違うことはもちろん,いくつかの決めなければならない事柄の中で,自分にとって何が一番大事なことなのかが,一人ひとり違うからです。何を大事に考えるかで,取るべき手段は変わってきます。
・・・これら一つひとつの事柄についてなら,一般的なことはインターネットで調べればわかることもあるかもしれません。しかし,具体的な事案で,複数ある課題のうちの何をどこから解決するのが良いのか,また,解決のためにどのような手続を取るのが自分の事案では一番適切なのか―その判断を的確に行うには,知識と経験が必要です。ほとんどの人にとって離婚は未知の経験です。しかも,なかなか人に相談できることではありません。だからこそ,離婚事件には専門家の助力が特に必要だと考えます。
当事務所では,相談者・依頼者の方から,それぞれのご事情とご希望を,特にじっくりと時間をかけてお聞きすることを心掛けています。その人がどんなことに悩んでいるのか,解決のためにはどんな手続が一番有効なのか。当事務所の弁護士スタッフが知識と経験をもとに,相談者・依頼者の方と,その人にとって一番いい解決を,一緒に考えていきます。
①話し合いでの解決を目指すケース
例えば,離婚することはお互いに納得しているという女性からの相談事案があったとします。
夫婦には預貯金のほかには分割すべき大きな財産があるわけでもなく,未成年の子の親権者は母親にすることも合意していますが,養育費の金額や支払方法に隔たりがあったり,ちゃんと払ってもらえるのか不安があったりするため,そこで暗礁に乗り上げていて,話し合いが進まないという状況にあります。
このような事案の場合,養育費の金額とその支払いの確保が解決すべき重要なポイントである一方,解決すべき事柄の数自体は多くないことから,可能であれば離婚調停にまで進まずに,弁護士が代理人に就任したうえで,協議離婚による解決を目指すという方向性が考えられます。
弁護士が代理人として相手方に対応し,適切な財産分与や養育費の金額や,このまま協議による離婚で解決できなかった場合の手続の長期化などのデメリット,子どもとの関係を良好に保つために父親としてきちんとした経済的な対応を行うことの重要性を相手方にわかってもらい,支払の確実性を確保するために,財産分与や養育費の取り決めと支払いについて,公正証書を作成したうえで離婚する方向性を見出します。
このような協議による解決を目指す場合でも,考えなければならないこと,気を付けるべきことは,一つ一つの事件で違ってくるので,依頼者の方と打ち合わせを重ねながら相手方と交渉を行うことがとても大事になってきます。
②調停での解決を目指すケース
親権について互いが譲らず,そのために話し合いが進まない。そのようなケースの場合,話し合いによる解決に多くの時間を使うのではなく,むしろ早めに調停の申し立てを行うことが,最終的な解決が早くなる場合があります。
離婚調停の調停期日はおよそ1か月に1回となるので,解決までの道のりを遠く感じるかもしれませんが,調停期日の間に弁護士との間の打ち合わせを行ったり,相手方と協議を行うなど,やらなければならないことはたくさんあります。
また,離婚調停で未成年の子の親権者にどちらがなるのかに争いがある場合,裁判所調査官による調査が行われることがほとんどです。そして,子どもの親権を取得するには,この調査官調査にどのように対応するのかが極めて重要なポイントになります。調査官調査の結果は,もし調停が不成立になり,事件が裁判に持ち込まれたとしても,裁判所の重要な判断資料になります。
調査官はどのような点を重視するのかを把握し,それぞれの事案で,調査官に注目してもらいたいポイントをどのように設定し調査官との面会にどのように臨むのか。豊富な知識と経験をもとに,依頼者と打ち合わせを重ねていく必要のある,弁護士の経験が事案を左右する重要な局面です。
③裁判での解決を目指すケース
相手がどうしても離婚に応じようとせず,平行線のまま調停が不成立になってしまった,このような場合,離婚をしたいとなると家庭裁判所に離婚の裁判を起こすことになります。
調停と訴訟との一番大きな違いは,調停の根本は「裁判所の調停委員が間に入っての夫婦間の話し合い」であるのに対し,訴訟の根本は,話し合いではなく「法律で定められた離婚原因があるかないかを裁判所が証拠から判断し,もし離婚原因があるならば,どちらかが離婚したくないと言っていても離婚が認められる」というところにあります。
離婚訴訟を提起するにあたっては,法律で定められた離婚原因があるか,その離婚原因を証明するための証拠にはどのようなものがあるのか,もし今手元に証拠がない場合には,どうやって証拠を集めるのか,調停の場面とは全く違う検討が必要となります。もちろん,裁判の途中で裁判所から話し合いによる解決(和解といいます)を勧められることもありますが,その場合にも,証拠の有無,強弱が大きな役割を果たします。
事案ごとにどんな証拠を用意することができるのか,集めた証拠でどのような主張を行えばよいのか。離婚訴訟の主張立証を多くこなす中で培った経験が生きる場面です。