←前のページ 次ページ→   2006年9月1日  

「子どもの権利条約【国連審査】にご注目を」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  星野 一人     ・・・・・・
 1989年に国連で採択され、日本も94年に批准した子どもの権利条約。子どもを権利主体として明確に位置付けたこの条約に関して、批准している国=締約国は条約第44に基づき5年ごと(発効直後は2年以内)に、その理念の実現に向けた施策の推進状況を国連子どもの権利委員会に報告する義務があります。報告は各国政府が行うもののほかに、NGOによる報告も重要な役割を果たしています。
 日本はすでに2回この審査を受けており、98年と04年にその結果を盛り込んだ「最終所見」が出されています。第2回の最終所見では、政策面での子ども・市民参加の不十分さや根強い社会的差別の存在などが指摘され、特に政治活動を含めて子どもの意見の尊重を制限する社会状況があるという指摘は重く受け止められなければなりません。
 こうして多くの宿題を抱えた日本政府ですが、早くも第3回の国連審査に向けて、その報告の準備が始まっています。果たしてこの間の政策や子どもをめぐる社会状況に対して、国連がどのような評価を行うのか、今から非常に注目されるところです。
 ところで、国連子どもの権利委員会の出す最終所見は、子どもの日常生活にも深くかかわっている身近なものです。
 例えば、本ホームページ内で七生養護学校の「こころとからだの学習」をめぐる事件が取り上げられています。これに関連して第2回の最終所見では、障害をもつ子どもについて「本委員会は精神的障害を含む障害を持つ子どもが本条約によって保障された権利の享受に当たって不利な立場に置かれていること(中略)を懸念する」(第43パラグラフ)とした上で、次の第44パラグラフで「障害を持つ子どもに影響を与えるすべての施策を、障害を持つ子どもおよび関連する非政府組織と共同して、見直すこと」や「障害を持つ子どものための特別な教育およびサービスに割当てられる人的および財政的資源を増加させること」などを勧告しています。
 これなどを読むと、都教委による教材の取り上げや教員の処分は国際的な流れから明らかに逆行していることがわかります。子どもの人権侵害が疑われることがあったとき、国際的な流れはどうなっているのかを知る手がかりになるのがこの最終所見なのです。
 最終所見はインターネットの検索でも簡単に見つけることができるので、関心のある方はご覧になってみてはいかがでしょうか。
 (注)最終所見の引用部分は福田雅章・世取山洋介訳を引用しました。 

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