←前のページ 次のページ→   2004年4月1日  
★閣議決定された

「裁判員制度」と市民が裁判に関わる意義

弁護士 木村 真実 
 政府は2009年4月実施を目標に、殺人などの重大事件について、3人の裁判官と6人の市民から選ばれる裁判員で裁判をする裁判員制度を実施するための法律案を閣議決定した。
●日本国憲法に定めがない「裁判員制度」
 日本国憲法は、76条で「すべて司法権は最高裁判所及び・・・下級裁判所に属する」と定め、その後の条文で裁判官の独立等について定めているが、陪審員・裁判員制度については何ら定めがない。従前は、憲法は職業裁判官による裁判を求めているとして陪審員制度や裁判員制度に消極的な意見も強かった。しかし、司法に市民感覚を取り入れるべきだという意見が強まり、最終的に殺人などの重大事件に限って、裁判官3人裁判員6人が裁判を行う法案が閣議決定されるに至った。
●今回の法案のポイント
対象 罰条に死刑、無期懲役が含まれるもの、または死の結果を生じたもの(年間約2800件、国民の116人に1人が一生に一回裁判員になる計算)
  裁判員制度の対象になるものは、職業裁判官だけの裁判は選択できない
権限 事実認定、法令の適用、量刑の決定
  過半数で、かつ裁判官・裁判員各1人以上の賛成が必要
選任 20歳以上の有権者から無作為に選んだ候補者を呼び出して質問
例外 禁固以上の刑に処せられたことのある人
  心身の故障があるため裁判員の職務の遂行に著しい支障がある人
  国会議員、裁判官・裁判所職員、検察官・法務省職員、弁護士、司法書士、弁理士、公証人、法律学の教授、自衛官、警察官(の大部分)等
  裁判の対象となる事件に関係ある人など
●裁判前の証拠開示も定められることに
 この裁判員による裁判は、裁判員を拘束する関係で、迅速に行われることが求められる。そこで、今回の法案に併せて、裁判前に双方が証拠を開示し、事前の準備を十分に行い、争点を絞って裁判ができるようにすることが定められる予定になっている。
●市民参加でより慎重な審理が
 今回の法案が成立すると、市民として死刑か否かの判断を求められることにもなります。最初からすべてがうまくいくとは思いませんが、市民が「自分が被告人の立場だったら」と考えながら裁判をすれば、より慎重な審理がされると思います。
 裁判員制度が導入されれば、事件の概要や証拠の内容を裁判員のみなさんにわかりやすく説明することが求められると思います。裁判所にとってはもちろん、僕たち弁護士にとっても大きな改革で、弁護士の意識も今後5年間かけて改革していく必要があると思います。

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