←前のページ 次のページ→   2003年12月27日  
★政府の司法制度改革推進本部がすすめる
「リーガルサービスセンター(LSC)」を
中核とする「司法ネット構想」固まる
弁護士 木村 真実 
 政府の司法制度改革推進本部は、「リーガルサービスセンター(LSC)」を中核とする「司法ネット構想」をかためた。その背景と骨子にふれる。
●リーガルサービスを受けたくても、身近に弁護士がいない
 全国の市町村の8割以上で弁護士が1人もおらず、司法が身近なものになっているとは言い難い状況にある。
 特に、地方裁判所の本庁・支部の所在地で弁護士が1人もいないもしくは1人しかいないところを「ゼロ・ワン地域」と言い、日本弁護士連合会(日弁連)では、2年前の紋別(北海道)を皮切りに、弁護士会の支援を受けて設けられる「公設事務所」の設置をすすめてきた。しかし、未だ19カ所で、裁判所があっても弁護士がおらず、38カ所で、1人しかいない(相手方に弁護士がつくと他の地域の弁護士を頼まざるを得ない)。
●インターネットを使った司法サービス網を盛り込んだ「LSC」構想
 このような中で、司法制度改革推進本部は、LSCの構想を打ち出した。
 具体的には、独立行政法人LSCを設け、各地に地方事務所を作る。そこで、
1、 法律相談−法律上のトラブルの解決への道案内
2、民事法律扶助−資力の乏しい人へ裁判費用を立て替える
3、公的刑事弁護−容疑者段階から公費で弁護人がつけるようにする
4、司法過疎対策−弁護士の足りない地域で法律サービスを提供する
5、被害者支援−犯罪被害者に必要な支援を行う
という5つの業務を行うというものである。
 設立・運営には最高裁も関わり、弁護士の雇用や解任は法曹三者や有識者で作る「委員会」が行う。LSCは、インターネットなどにより弁護士会や地方自治体の相談窓口と提携する。
 上記5つの問題は以前から議論されていたが、それを統合したLSC構想が明らかにされたのは昨年のことである。これに対しては、雇用・解任を通じて弁護士の独立性が損なわれるのではないか、LSCの主務官庁になる法務省(検察庁を管轄)が刑事弁護へ介入してくることにならないか、などの疑問も出されている。
●弁護士の主体性を損なわない方向で枠組みをつくりあげる必要が
 LSC構想について、日弁連としては、日弁連が進めてきた公設事務所の設置、法律扶助の拡充、当番弁護士制度などと基本的方向を同じくするものと考えています。ただ、私(木村)は、上記1、3、4、5の業務は、本来的に弁護士の仕事であり、弁護士会が司法書士や地方自治体と協力しながら主体的に担うのが本筋だと思います。最近の国立大学の独立法人化で、国立大学の教員の自由が制限される懸念も出されていますが、自由に独立した活動をするためには自分たちが主体になる必要があると考えます。2などの費用の点については、医療費や教育費などがそうであるように、公的なものとして公費が支出されるべきだと考えるのです。
 いずれにしても、LSC構想が、真に市民のためのものになるように、これからも注視していく必要があると思います。

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