←前のページ 次のページ→   2003年12月3日  
★親の離婚の際、子どもの養育費額はいったいどれくらいが妥当なのか
裁判官らが養育費算定基準を示す
弁護士 木村 真実 
 東京と大阪の裁判官らで作る「東京・大阪養育費等研究会」が養育費算定表を作成した。以下、その概要と(離婚)をめぐる法制度の変化にふれる。
親の離婚に当たっては、
子の親権をどうするかと養育費をどれくらい負担するかが大きな問題
 離婚をすると夫婦は夫婦でなくなるが、親は親なので、親権を持ち子どもを養育する親に対して、他方の親は養育費を支払うことになる。
 しかしながら、本当は手許で育てたい子どもを渡した上に、毎月数万円の金を支払えと言われるのはつらいものである。そこで、養育費の額は、親権をどちらが得るか、とともに離婚の際に揉める大きな要素となってきた。
裁判官が示した養育費基準額
 今回出された養育費の簡易一覧表は、裁判官の議論の中からひとつの基準を示したもので、たとえば
1、年収650万円の父親が、13才と10才の子を育てている年収100万円の母親に払う養育費は、月8−10万円。
2、同じ年収状況でも子どもが16才と13才なら月10−12万円。
3、年収500万円の父親が無収入の母親と離婚し、16才の子どもの母親が引き取る場合、父親が支払う養育費は月6−8万円。
としている。
養育費を滞らせる事態には、「差し押さえ」も可能に
 なお、養育費の約束を裁判所でしても、仕事を失った、新しい家庭ができた、単に払いたくない、などによって養育費の支払いを滞らせることがままある。このような場合、今までも裁判所からの勧告(家事審判法第15条の5)や命令(同6)という制度があったが、実効性がないと批判されていた。この点については、支払義務のある親の給与から将来分まで差押えができるようになる。
別々だった離婚調停と訴訟の窓口を家庭裁判所に一本化
  さらに、今まで離婚調停は家庭裁判所、離婚訴訟は地方裁判所で行われてきたが、地方裁判所は公開の法廷で行う上、家庭の事情等について調査する職員もおらず(家庭裁判所には調査官という人たちがいる)、離婚訴訟を行うにはふさわしくないと言われてきた。この点についても離婚訴訟を含めた人事訴訟が近々家庭裁判所の管轄に移ることになっている。
子どもの将来を第一に考え、調停がスムーズに運ぶことを期待
 まちのなかの弁護士には離婚の相談も多いです。
 僕(木村)個人は、離婚の最大の問題は、大人の事情で決めたことについて、子どもに迷惑をかけることを最小限にするにはどうしたらよいか、だと思っています。その点で、養育費を非親権者(男親のことが多い)から親権者(女親のことが多い)にわたるお金のように捉えて2人が争うことには大きな違和感を感じてきました。
 今回の算定表の発表は、養育費を請求する側も請求を受ける側もともにこのくらいがメドだとして議論の出発点になる意味を有しており、離婚調停等の場で力を発揮することが多いと思います。

↑Page Top
 →このサイトについて