←前のページ 次のページ→   2003年10月27日  
★首都圏中央連絡自動車道(圏央道)あきるのIC付近の土地について
土地収用裁決に基づく、東京都知事の
代執行を停止する東京地裁決定の意義
弁護士 木村 真実 
 東京地裁は、2003年10月3日、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)あきるのIC付近の土地について、土地収用裁決に基づく東京都知事の代執行を停止する決定をした。
(1)国と都は、今年度中に開通をを予定していた
 圏央道は、都心から40〜60qを環状に結ぶ予定の自動車専用道路で、全体計画は300q。現在、鶴ヶ島JCTから日の出ICまでの28q等が開通し、国や都は、日の出ICからあきる野ICまでを今年度中に開通したいとしていた。
(2)建設反対の住民運動と訴訟の経緯
 住民は、19年前に計画が伝えられて以来反対を貫き、00年12月には、建設大臣の事業認定の取消を求める訴訟を起こした。また、訴訟と並行して行われてきた東京都収用委員会で、02年9月に収用を認める裁決がなされたので、11月に収用裁決取消訴訟を起こすとともに、判決確定までの執行停止を求めた。今回は、この収用裁決に基づいて今年6月に請求された都知事の代執行の停止を命じたものである。
(3)住民側の主張を全面的に受け入れた地裁決定
 今回の決定は、
1、住民の居住の利益は最大限尊重されるべきである
2、本件工事を止めても全体計画に直ちに影響しないから公共の福祉に与える影響は軽微である
3、事業認定の適法性について都知事も収用委員会も主張立証していないから、このままでは本訴(事業認定取消、収用裁決取消)が住民側の勝利に終わるのは明らかであり、今後適法性が主張されるとしても現時点の証拠では事業認定、収用裁決の適法性に疑問が残る
というものであり、本訴の見通しまで含めて住民側の主張を全面的に認めたものとなった。
 国の事業をめぐる土地収用の執行停止を認めた判断は異例で、今後の公共事業に大きな影響を与えることになる。
(4)憲法で保障された基本的人権の一つ、財産権が、公共の福祉の名のもとにやすやすと侵害されることに大きな歯止め、示された人権の視点

 私(木村)は、この裁判の弁護団の一員として執行停止の意見書の一部も書きましたが、これほどまでに明確に私たちの主張が支持されたのは予想以上でした。今回の決定は、「みんなが便利になる」ことと「ある人々が家土地を奪われる」ことを比較するとき、「みんな」と「ある人々」だけを比較するのではなく、「便利になる」と「家土地を奪われる」ことも併せて比較して結論を出しました。この視点が、人権の砦たる裁判所に求められているものだと思います。


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