←前のページ 次のページ→   2003年8月1日  
★「ヤミ金融対策法 成立へ」(7月2日付朝日新聞1面)に関連して
「ヤミ金融対策法」とは
改正案の四つの柱 弁護士 木村 真実 
 与野党は、
1, 暴力団員等の登録拒否や手持ち資金の義務化など貸金業登録の厳格化
2, 無登録業者の広告、勧誘の禁止や不正不当な取り立ての禁止、
3, 無登録営業や出資法違反の高金利貸しつけに対する罰則の強化、
4, 年109.5%を超える高金利の利息部分の契約無効等
を柱とする貸金業規制法等の改正案を成立させるという。(注)
年利109.5%を超える高金利業者は数千社にものぼる
 出資法の上限金利(年109.5%、業者の場合年29.2%)を超える高金利(多くは数百から数千%)で貸しつけるヤミ金業者は、何千社もあるといわれ、まち中に張ってある「お金貸します」の広告の多くがヤミ金であると考えられる。
 ヤミ金に約束どおり返済するのは至難の技である。例えば、A社から「3万円を利息1万円天引き、2週間後に5万円で完済(年利3910%)、完済できない場合は2週間に2万円ずつ利息を支払う(年利2607%)」という約束で借りたとする。ヤミ金に借りる人はたいていせっぱ詰まっているから、手許に来た2万円は、サラ金への返済などで、その日中になくなる。当然2週間後に5万円はできないが、せめて2万円は作らないと携帯に脅しの電話が入り、職場や家族に電話が入るから、またヤミ金B社から「3万円を手数料1万円天引き」といった条件で借りて、2万円支払う。その2週間後には4万円を作らないといけないから…4週間で借金は1円も減らず、2万円しか使っていないのに20万円作らないと完済しない借金が残る。こうなるともう自力で返せるはずはなく、親兄弟に頼んでまとまった額を用意してもらうか、法律事務所に行くことになる。
 現行法でも、出資法の上限金利を超える貸付けは、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金である(5条)。脅して取り立てるのは恐喝にもあたる。また、利息制限法(10万円未満の借入れの場合年20%)を超える部分については、返還請求できる。実際に処罰された業者もあるし、返還させたこともある。しかし、ヤミ金業者の多くは携帯電話のみしか教えていないことが多く、訴えようにも訴えられないことも多い。
貸し金業登録から暴力団を排除、貸付に関する罰則を強化
 借りた人が職場への脅しの電話で職を失い、生活がめちゃくちゃになるのに、貸した側はそうして取り立てた利息をまた貸しつけて被害者を増やしていく。今回の与野党合意は、こうした悪循環をなくすために、まずは金融を商売としてなすために義務づけられている登録の際に暴力団員等の登録を禁じ、また、無登録業者の広告、勧誘の禁止や不正不当な取り立てを禁じ、さらに、無登録営業や出資法違反の高金利貸しつけに対する罰則の強化をするものである。
 また、年109.5%を超える高金利の利息部分の契約を無効とすることによって、「ヤミ金はもうかる」といったことがないようにする。この点は、高金利貸付の場合は元金も返還しなくてよいことにすることによって、「ヤミ金は損する」ことを徹底すべきだという意見と、そんなことをすると借りて返さない人が増えるから利息制限法の範囲内は有効にしようという意見の間を取ったものである。
望まれる、警察や行政の取り締まり強化
 ヤミ金については、暴力団の資金源になっていることが明らかになる一方、取立てに追いつめられた人が自殺するなど問題が大きくクローズアップされており、今回の法改正は、そうした状況に対して一定の効果はあると考えられる。
 しかし、先に述べたように、ヤミ金業者の多くは携帯電話のみしか教えていないことが多く、告訴しようとしても警察の腰も重い。
 法律に反していることは自覚しつつ取り立てを行ってきたヤミ金業者が「ヤミ金で刑務所行きなんてばからしいからやめよう」と思うかどうかは、警察や行政の取り締まる態度にもよると考えられる。
 当事務所にも度々相談が来るヤミ金被害は、相手が法律違反を承知しているという点でなかなかやっかいです。それでも一度手を出すと自力で抜け出すのはまず無理です。改正法も使いながら、警察や役所にもがんばってもらって、しばらくは対決していくしかないと思います。

(注)
 改正貸金業規制法と改正出資法が7月25日、参院本会議で全会一致で可決、成立した。
 今回の法改正で、すべての貸し付けの上限金利である年109.5%を超える契約が無効になり、利息部分の支払いは不要になる。また、無登録業者への罰則を、現行の「懲役3年以下か罰金300万円以下」から「同5年以下か同1000万円以下(法人は1億円以下)」に大幅に強化。
 さらに、犯罪歴がある業者の登録拒否期間を現行の3年から5年に延長するなど、暴力団関係者の排除を目的に参入要件を厳格化した。
(時事通信から抜粋)

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