次のページ→     2002年6月20日  
有事法制は許せない、21世紀のピンぼけ
「ひろばニュー」113号(5月)に窪田之喜が投稿したものです。
今、国会で武力攻撃事態法案と自衛隊法改正案、安全保障会議設置法改正案が強行されようとしています。その「有事3法案」の危険な中身を10項目にまとめました。
◇問題点1 戦争しないと誓った憲法第9条を完全に否定する
自衛隊の存在や日米安保条約の存在が違憲であるとの批判を無視して、最近ではPKO法や周辺事態法によって自衛隊の海外派兵まで実行されています。有事法制は、「武力攻撃」=戦争のルールをさだめる戦争法です。憲法第9条の息の根をとめるねらいをもった法体制です。
しかし、侵略戦争を反省し、戦争放棄・軍隊不保持・交戦権否認を誓った憲法第9条は、先のハーグ世界平和市民会議でも確認された世界の目標であり、とくにアジアの平和のための要となっています。アジアで日本の軍事力を心配する声は大きくなっていますが、期待する声はありません。期待は、太平洋の向こうから聞こえてくるだけです。
◇問題点2 「武力攻撃事態」というあいまいな言葉
今度の法律のキーワードは、。しかし、これは明確な法律用語ではありません。実際に「武力攻撃」があった場合だけでなく、その「おそれ」があるとき、さらには武力攻撃が「予測される」にいたった事態までも含むというのです。全く曖昧、無限定と言っていいのです。法律では、「武力攻撃事態」を内閣が認定するとしていますが、「周辺事態」の認定とも連動して米軍の認定の後追いになるのは必定。「日本国民の運命は米大統領と米軍の手に」にぎられるのです。
◇問題点3 従うのみの国民
武力攻撃事態法では、国民の戦争協力が義務づけられ、自衛隊法改正で、立ち入り検査の拒否や・物資保管命令違反は、処罰されることになります。言論が抑圧され、強制的な労務提供や強制的な物資の提供が義務づけられるようになるでしょう。
◇問題点4 首相に権限集中、国会し、自治体の従属化
首相は、国会の事前承認なく自衛隊を動かせるようになります。事後の承認といっても軍隊はもう戦闘行動にでた後のこと。首相は、自治体首長などに指示したり、自治体の首長などに代わって直接執行したりできるようになります。自治体は、明らかに国家の従属物になります。しかし、日本国憲法では、国会は国権の最高機関であり、国と自治体は対等平等の関係、とされているのです。
◇問題点5 「軍隊のお通り」だ
自衛隊法改正案では、防衛出動の前にも、自衛隊が一定の地域で陣地構築などできるし、この時、武器も使用できるとしています。武力攻撃前の武器使用を認めるというのは、国民の抵抗を武力で抑えることさえ考えているのでしょうか。防衛出動の時は、道路でない空地なども軍隊が通行できるともされています。
また、都道府県知事に民間の施設・土地・家屋などに立入検査する権限・民間の家を取壊す権限などを与えています。軍隊が知事をつかって住民に対し強権発動するしくみです。知事が拒めば首相が直接国民に命令できるところまで徹底しています。
◇問題点6 「指定公共機関」を動因する
独立行政法人、日銀、日赤、NHK、電気・ガス・運輸・通信・「その他公益的事業を営む法人」は全て、戦争に強制的に動員されます。
〈問題点7 2年以内に有事法体制を完成させる〉
今回は、骨格をつくり、2年以内に、戦争法体制を完成させるとしています。一方で、全面的な戦争法にしないで国民の抵抗感を和らげ、他方では2年の区切りで戦争法体制づくりを急ぐ。二面作戦です。
◇問題点8 テロ対策など
小泉内閣は、テロや不審船対策なども有事法制の必要な理由と言ってきました。これは警察活動と軍事活動をごちゃまぜにするごまかしのテクニックでした。国民の不安をあおって戦争法をつくろうとしているのです。「武力攻撃事態以外の・・緊急事態」対策を武力攻撃事態法案の中に書き込んできた意図は、こうかつで危険です。
◇問題点9 内閣と首相こそ国民の不安のまとなのに
みたとおり、有事法制では内閣と首相に権限を集中しています。しかし、今、政治腐敗を無くすことが最大の改革課題となっています。国民からもっとも権限乱用を心配されている政府に強大な権限を集中するものです。これは、危険な軍事国家にたいする限りない不安をかき立てます。
◇問題点10 共同して人間らしい世界をつくる
今、少子化は深刻です。1人の女性の生む子が平均2.08人なら人口が維持されます。今、日本では1.3人台、東京では1.0人台です。2050年までには、日本の人口は2500万人以上も減る予測です。安心して子供を産み・育てる社会的条件をつくることが日本や先進資本主義国の最大の課題となっているのです。
他方で、人口の爆発が世界の課題になっています。それは農業問題とつながり、地球環境問題ともなります。
これをみただけでも、今、人びとが共同し人間らしく生きられ世界をつくこと、そのために全力を傾けること、それが、最大の安全保障の道でもあると思い至ります。軍隊中心の国家を構想し、戦争法規を整備し、日米軍事同盟強化が安全保障の要だという考え方は、日本国憲法に反するだけでなく、21世紀の歴史の課題にこたえようとしないピントはずれの古い思考です。いま、有事法制問題は、ブッシュ政権が西部劇になぞらえて批判されているのと無縁でない、時代錯誤を感じさせます。
◇私たちの思い
私たちは、今、このまちから、国のあり方・世界のあり方を考え、語り合う時ではないでしょうか。
若い世代が安心して子どもを生み育てられるまち・国、老後が安心できるまち・国、をめざすべき時ではないでしょうか。
戦争を防止し、世界の人々が共同して生きることに熱心であり得る21世紀をめざすべき時ではないでしょうか。
私たちは、その思いを言葉とし、署名とし、おごり腐敗した国政に突きつけていく必要があるのではないでしょうか。

Page Top
 →このサイトについて