←前のページ 次のページ→   2007年1月1日  
●その7
弁護士 山下太郎
●「改正」教育基本法
 2006年12月,「改正」教育基本法案が国会で可決成立した。愛国心の問題もさることながら,これまでの教育基本法10条の「不当な支配」という文言そのものは残しながら,「法律」による国家の教育内容への介入が正当化されるおそれのある,極めて問題のある法律である。
 私たちの事務所は,2003年に日野市にある七生養護学校で起きた教育の不当介入事件に取り組んでいる。七生養護学校の先生たちに接し,先生たちの話をうかがうにつけ,教育は学ぶ者と教える者とのあいだの人格の接触を通じてはじめて成り立つものであり,教育は現場のものであることを教えられる。
 「教育現場の荒廃」などを喧伝し,それをテコにして数の論理で教育の本質をねじ曲げて成立させた「改正」教育基本法は,教育の本質に真っ向から反するものであることは明らかである。
 今後,理念法である教育基本法の「改正」を受けて,学校教育法の改正,教育振興基本計画の策定など,具体的な教育への国家の介入が本格化していくだろう。また,この流れを先取りしたかたちで進行している,東京都の教育に関する様々な暴挙もさらに勢いを増していくだろう。
 しかし,権力者がいかに教育を自分の思いどおりにしようとしても,日本国憲法の教育の理念が法律である教育基本法によって読み替えられるわけではないし,何よりも「教育は現場のものである」という教育の本質そのものがかわるわけではないし,。
 七生養護弁護団のある弁護士が「江戸の敵を長崎でとりたい」と言っていたが,まさに私としては,七生養護の不当介入事件で勝ちきり,この誤った流れに歯止めをかけることが必要だとの思いを新たにしている。

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