←前のページ 次のページ→   2005年12月1日  
●続編6
弁護士 山下太郎
●「家庭裁判所調査官と付添人」
 少年事件の場合,検察官は事件を原則として全て家庭裁判所に送致する(全件送致主義)が,家庭裁判所ではその少年を担当する家庭裁判所調査官が付く。
 この家庭裁判所調査官は,心理学等の,事件を起こした少年の問題点を分析するための専門知識を持っており,少年の問題点を分析した上,その少年の処分についての意見を述べる。この調査官意見は,裁判官がおこなう処分の決定に非常に大きな影響を与える(少なくとも私の乏しい経験では,調査官意見と裁判官の審判結果が食い違ったケースは皆無であった)。
 弁護士が付添人として少年事件に関わる場合,まず調査官に面会して,付添人として考えている少年の問題点を伝え,また調査官から,調査官がどのような問題点に着目しているのかを伝えてもらう。調査官とのコミニュケーションは,付添人活動の中でも非常に重要な要素である。
 付添人として調査官と面会する際に悩むこともある。面会してみて,その少年について,自分は知っているが調査官は知らない事情,とくに少年に不利益な事情(例えば,問題がある交友関係や,家庭の事情)があるときにどのような対応をするのかという問題である。
 この場合の付添人としての行動原理は,当然ではあるが「何が少年のためになるのか」ということである。調査官に伝えることで処分が重くなるという場合,やはり付添人としては悩んだ末に伝えないことが多いのも事実である。しかし,場合によっては少年とよく話し合って,調査官に伝えるという判断をすることもある。短期的に見て処分が重くなる方向に傾く事情のように見えても,少年の将来を考えたとき,その事情を踏まえて調査官に意見を述べてもらうことが,少年の究極的な利益になるという場合も考えられる。もちろん,付添人は少年のパートナーなので,少年に断りなく勝手に調査官に事情を伝えるということはあり得ないが,少年や保護者とよく話し合った上で,調査官にその事情も踏まえて考えてもらうことが,少年のためによい場合もあるのだと思っている。

(なお,子ども屋パート2は今回で終了します。次回からは新コーナーとなります。)


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