←前のページ 次のページ→   2005年9月1日  
●続編3
弁護士 山下太郎
●「親の利益,子の利益」その2
 (つづき)一方,前回お話しした場合とは異なり,少年事件で,親から,少年の弁護,付添人活動を依頼されることがある。この場合には,ほとんどの場合少年自身には資力がないことから,場合によっては親を依頼者として事件を受任し,少年の弁護人,付添人となることもある。
 付添人として少年と面会して事情を聞くと,少年が親子関係で問題を抱え,悩みを持っていることも多い。
 例えば,少年は親から自立したいと思っており,親が自分のことを心配するのを過度の干渉ととらえ反発するが,その一方で少年の生活態度は不安定で過去頻繁に問題行動を起こしているとする。他方,親は少年のことが心配で,少しでも少年に立ち直って欲しいためにいろいろと頑張るが,その頑張りが時に過干渉となり,かえって少年との関係を悪化させ問題を複雑にしているとする。
 少年と面会をすると,少年は親にはもっと自分を信じてくれるように弁護士から言って欲しいと訴え,一方親と打ち合わせをすると,決然とした面持ちで「これからはもっと厳しく子どもに接して,二度とこのような事件を起こさせないようにしたいと考えております」との答えが返ってきたりする。
 子ども屋が付添人としてこのような状況に置かれたとき,親と子にどのように接するべきかについては正にケースバイケースという他はなく,私自身,状況に直面するたびに悩んでいる。この状況において具体的にどのように接すべきなのかについて,ここで軽々にお話しするべきではないし,そのつもりもない。
 ただ,付添人弁護士の思考の順序としては,まず少年にとってどうすべきなのかを考える。もちろん「少年にとってどうすべきなのかを考える」ということと,「少年の言うとおりにする」というのはイコールではあり得ない。付添人の立場から,今少年にとって必要なことは何なのかを考える。そして,これからどうしていくのかを親と一緒に考える。すると時に,付添人弁護士の言い分が親の考えと衝突することもある。その時には,弁護士費用を親が出していようがそうでなかろうが,親と衝突する局面があってよいと思う。自分に向かってこの弁護士は何を言っているのだと思う人もいるかも知れない。しかし,弁護士が付添人として少年事件を行う以上,その衝突をおそれていては付添人活動は成り立たない。付添人弁護士は,弁護士費用を出しているのが誰であれ,あくまで少年のパートナーだからである(以下次号)。

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