←前のページ 次のページ→   2003年2月28日  
●連載その9
 前回の最後に「どういう刑になるのか」という話がでました。透明な壁の向こう からよく投げかけられる質問です。
 特に執行猶予がつく可能性がある場合、例えば懲役1年6月、執行猶予3年となれば、3年間事件を起こさずに過ごせば刑務所に行かなくていいわけですから、執行猶予がつくとつかないとでは大違いです。
 その真剣なまなざしに「あなたの場合は執行猶予です。」とズバリ答えてあげられれば、と思います。しかし、僕の答えは、例えば「この場合、執行猶予がつくことが多いけれど、判決をするのは裁判官だからはっきりは答えられない」です。
 中には警察の同房者から聞いた、といって執行猶予を確信している人もいます。警察の留置場の中はいくつかの部屋があり、同じ部屋(同房)に何人かずつ入ります。この同房者に刑務所経験者など詳しい人がいると、「あんたの場合は執行猶予間違いなし」などと言われるようです。
 けれども、刑は時代によって変動があります。覚せい剤やオーバーステイなどは最近明らかに重くなっています。また、最近は被害者の意向が量刑に強く影響しているように思えます。経験豊かな同房の人の過去の経験は必ずしも役に立たないのです。弁護人としては、このような最近の動向もふまえて量刑を推し量りますが、それでも裁判官が重視することが自分と異なれば量刑も変わってきます。だから「判決をするのは裁判官だからはっきりは答えられない」のです。
 裁判所は裁判所全体としての、裁判官は裁判官個々人での量刑の基準を持っています。それによって「同じことをやった人には同じ量刑」になるように努力しています。弁護士も、ここの事案を集積整理してその基準を探ろうとします。
 しかし、量刑はあくまで個々の裁判官が事案ごとに決めるもので、判決の日になって初めてわかる、だから緊張して判決の日を待とう、ということでいいようにも思うのです。

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