次のページ→     2002年7月1日  
●連載その1
 「どうして悪い人の弁護をするのですか。」進路相談の参考になれば、ということで、中学校に呼ばれて弁護士の日常生活について話をしたときに一番多かった質問はこれでした。僕は、「犯人だとされて逮捕された人の中にも犯人でない人はいるし、犯人だとしてもその人のいい点もきちんと裁判所に伝えてその人にちょうどいい刑にしてもらわなきゃいけない」などと答えましたが、生徒のみんなにわかってもらえたかは自信がありません。  
 そこで、「どうして悪い人の弁護をするのですか。」という問題の答えを、中学生にもわかるように考えていこうと思い、しばらくの間この連載をしていこうと思い立ちました。
犯罪を犯したと疑われている人を「被疑者」、犯罪を犯したとして起訴された人を「被告人」と言います。弁護士が被疑者や被告人と会うのが、接見室です。家族や友だちが会うときには、被疑者や被告人のそばに立ち会いの警察官が1人つくのですが、弁護士の場合には、被疑者や被告人と1対1で話ができます。
 でも、弁護士と言えども、被疑者や被告人との間にはプラスチックの板があり、話もこの板越しだし、直接ものをやり取りすることもできません。この板の厚さは、特に「犯人でない人」の弁護をする時に厚く感じられます。
弁護士は、このプラスチック板の向こうから事件の話を聞きとり、プラスチック板の向こうに励ましの言葉をかけ、事件の見通しを伝えます。そしてここでのやりとりを見てもらえれば、「どうして悪い人の弁護をするのですか。」という問いの答えは出てくると思います。
 来月から、僕の感じた接見室の雰囲気を、プライバシーに触れない範囲でみなさんに伝えていきたいと思います。

 →このサイトについて